コラム>コラム
会員の近況報告 清友会の源流をたどる バックナンバー 
「とじこもり少年の法律問題」の相談事例
弁護士 鎌 田 正 聰
 小生も弁護士になって28年になり、一定の年令を重ねてきてしまいました。いわゆる町医者的弁護士として、庶民的事件をぽちぽちとやっています。
 民事事件のほか、弁護士になってからは毎年必ず刑事事件を数件から十数件やっております。現在当会員の田瀬英敏先生・川口誠先生と共に死刑の上告審他をやっております。
 よくもこの年まで続けているものだと思っております。弁護士も種々困難な時代になってきておりますが、性懲りもなく交通事故委員会で赤本・青本つくりをし、新宿の紛セに通っている日々です。
 皆様とともにまだまだ元気でやりたいことをやっていきたいです。

「とじこもり少年の法律問題」の相談事例をご報告いたします。

相談内容
 「16才の息子が高校に行けなくなり、閉じこもり、夜になると起き出し、テレビを見、外に出たりして夜昼逆転しています。昼に起きてきちんと学校に行くか働くかしてはと注意するのですが反抗し、物を壊したりして親には手におえない。どうしたらよいでしょうか。」

 近時このような子供さん、また20才を過ぎた子供さんが増加しており、我々弁護士にも持ち込まれます。このような子供さんには、心理問題・いじめ問題・教育問題・家庭問題がからみあっていると思いますので、いちがいに、このようにすればこのようになるという解決方法はないでしょう。
 しかし、あばれたり、物を破壊したりすることは許されないものと思います。それはやめさせるべきでしょう。小さいときからの家庭教育もあるかもしれませんが、あばれたり物を壊したりすること、家庭内暴力になるときは、警察・児童相談所などに相談し、また、弁護士に相談して欲しいと思います。小さいときから甘やかされ、集団生活ができなくなっている子供さんもおられるようです。小さいときから一定の集団生活・友人付き合いがどうしても必要であり、その中で生きていること、助け合い、意見を言い合い、互いに譲歩しながら生活することを学ばせる必要があり、生活には一定のルールがあること、などをきちんと指導することが必要なのでしょう。ロビンソークルーソーの如く離れ小島に生活しているのではないのですから、その意味では学校生活やクラブ活動など集団生活の中での訓練など一定の集団での鍛錬はどうしても必要であり、有益であるのだと思います。それらによる教育・指導は勿論暴力的ではいけませんが、良いことをのばし、悪いことをきちんとたしなめなければ子供さんは社会人としては育たないのだと思います。
 ご相談の16才位ですと、まだ一定の指導・助言は可能ではないかと思いますし、それを少年法などは考えて制定されていますが、学校の先生や、児童相談所、犯罪傾向があれば警察にきちんと相談していく必要があります。犯罪的行動を家庭内だからよいよいとしていると、外部に出てしだいに発展することがありますので、それらを踏まえて、少しずつきちんと家庭内でご両親・家族でもちいさい時から根気よく話し合って欲しいです。その上で、できるだけ早く弁護士会のこの種の相談窓口に直接相談して下さい。その上で、事件・状況が発展すれば時に警察や家庭裁判所に行かなければならないことがあります。残念ながら、この種の問題は、家庭だけでは処理・解決できず、学校・児童相談所・カウンセラー・弁護士会・警察・家庭裁判所など協力してやっていかなければならない時代になってしまったのだと思います。大人になってからでは、とても体力的に対処・対抗できません。犯罪が発生してからではおそいのです。勿論、犯罪的になったらやむなしとして、弁護士や警察のやっかいになるしかないことを私たちは考えるべき時代になってしまいました。子供さんが、大人になってからでは遅いのです。勿論、犯罪的になったらやむなしとして、弁護士や警察のやっかいになるしかないことを、残念ながら私たちは考えるべき社会になってしまったと思います。そのような意味でも弁護士会は活動し窓口を開いていますので、ご利用下さい。

 などと回答いたしました。多少批判のある回答ですので、諸先生方には種々お考えがあるかと存じますが、いかがなものでしょうか。ご意見いただければ幸いです。
 
 

BACK

to PAGE TOP

TOP PAGE