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弁護士の活動場所
弁護士 山 崎 司 平
 東京地方裁判所の八王子支部が立川基地の跡地の一角に移転することが決まっています。これを受けて、弁護士会の多摩支部会館の移転問題も議論せざるを得ない状況になっています。私は、昨年と今年は二弁の財務委員会の委員長の職にありますが、二弁と東京弁護士会との「三会多摩新会館建設協議会」のメンバーとして、議論に参加しています。新会館を設置するとして、場所をどこにするかが、先決事項となります。有力な候補地は、新しい裁判所の近くなのですが、先日の会議で、東京弁護士会の委員が、交通の便を理由として立川駅の周辺を検討するべきであるとの意見を述べました。東弁の都市型公設事務所のメンバーの発言でした。私は、彼の発言を聞き、『ここ数年、私が主張していることと同じ考えだなぁ』との感想を持ちました。

 今から30年以上も前のことですが、私が大学生の頃に「若者よ。書を捨てよ、街へ出よう。」と言われたことがあります。作家の寺山修司氏が言い出した言葉であったと思います。これに対して、私は、『弁護士よ。(六法全)書を持って、街へ出よう。』と呼び掛けたいと思います。弁護士の大量増員時代を迎えていますが、これは弁護士の左うちわを許さない時代を迎えたということです。同時に、訴訟だけをしていればよい、訴訟だけでメシを食いたいという考え方にも再考を求めるものだと思います。

 私は、2000年度の日弁連理事として、増員論に賛成する発言をしました。『世の中が、"弁護士よ、色んな分野に出てきてくれ"と言っているのだから、みんなで出ていきましょうよ』と呼び掛けたのです。また私は、平成元年に仲裁センター発足のためのシンポジウムを開いたときに、『これからの弁護士は、かっての"横町のご隠居"のような立場に立って、社会における紛争解決の場において法的正義を実現するべきだ』という趣旨の報告をしました。私のシンポでの発言から13年目に、司法制度改革審議会は、平成13年6月に、弁護士がメ社会生活上の医師モとして活躍するべき時代が来たと述べるに至りました。

 法律事務所は、既に、霞ヶ関界隈から色んな場所に分散しています。家賃と場所に規定された側面は否定できませんが、弁護士が社会生活のあらゆる場に浸透していくことに一定の役割を持った、とも思います。今一度、清友会の皆さんに、『弁護士よ。(六法全)書を持って、街へ出よう。』と呼び掛けます。これを読んだ市民の皆さんは、気安くお声をかけて頂ければ幸いです。
 
 

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